「聖人の言葉は耳に残る」。
昔は、重みのある言葉が人の心に届く——
そんな感覚があった気がする。
でも今は、軽くて耳当たりのいい言葉のほうが、速く広がっていく。
ある文章を読んで、ふと立ち止まった。
福祉の現場でも、言葉はすぐに効く。
「大丈夫だよ」「ゆっくりでいいよ」
たったそれだけで、表情がほどけることがある。
逆もある。
何気ない一言が、あとから胸に残る。
「あの言い方、刺さってなかったかな」って。
言葉は、薄いガラスみたいだ。
丁寧に渡せば光るけど、雑に扱うと欠ける。
政治やニュースの言葉も同じかもしれない。
「誰ひとり取り残しません」
きれいな言葉ほど、現実とセットで確かめたい。
実際に、誰の暮らしがどう変わるのか。
私の小さなルールがある。
励ます前に、一回だけ聞く。
「いま、何がいちばんしんどい?」って。
今日も目の前の一人に向けて、
ていねいに言葉を選びたい。