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財務省が動いた。

4月28日、財政制度等審議会において、障害福祉サービスの費用抑制が正式に議題に上がった。総費用額は10年で約2倍、4兆2000億円。その中で特に名指しされたのが、就労継続支援B型の「短時間利用」モデルだ。利用時間4時間未満の事業所の収支差率が17%と突出して高い、というのが財務省の見立てである。

数字だけ見れば、たしかに異常値に映る。福祉業界全体の平均収支差率が数%にとどまる中で、17%。「過大報酬」と言われれば、反論しにくい部分もある。

でも、わたしはここで少し立ち止まりたい。

短時間しか来られない人がいる、という事実がある。

疲れやすい人がいる。体調が波打つ人がいる。電車に乗ること自体がその日の全力という人がいる。1時間だけ来て、それでも「今日は来られた」と誇らしげに帰っていく人がいる。

その1時間を、わたしたちは「短時間利用」と呼ばれ、報酬を削られようとしている。

財務省が問題にしているのは、本来そういう人たちのためにあるべき制度を、利益目的で食い物にしてきた一部の事業者だ。それは正しい指摘だと思う。短時間でも高い報酬が取れる構造を悪用した事業者が、確かに存在した。

ただ、その過程で、本当に短時間しか来られない人たちの居場所まで削られてはいけない。制度の悪用と、制度が守るべき人間を、同じ刃で切ってはいけない。

わたしが働く「ぽっぽ」は、就労継続支援B型の施設だ。

街の老舗中華料理店・北京亭を引き継ぎ、オープンに向けて動いている。メンバーが厨房に立ち、地域の人と顔を合わせる場所を作ろうとしている。「福祉だから応援してほしい」とは思っていない。おいしいから来てほしい、また来たいと思ってほしい、それだけだ。

これは、財務省が求める「工賃向上への寄与」や「一般就労への移行実績」を重視する方向性と、表面上は一致している。

でも、わたしたちがそれをやっているのは、報酬改定が怖いからじゃない。そうじゃなきゃ意味がないと思っているからだ。

制度が変わる。報酬が削られる。淘汰が始まる。

それでも、わたしは怖くない。

怖くない理由は一つだ。わたしたちがやっていることの根拠は、報酬体系の中にあるんじゃなくて、目の前の人間との関係の中にある。制度が変わっても、その人がここに来る理由がある限り、わたしたちは続けられる。

財務省は帳簿を見ている。わたしたちは人を見ている。

それだけで、十分だと思っている。